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AI研修に使える助成金は?

AI研修に使える助成金は?

この記事でできるようになること読み終えると、AI研修に使える助成金の制度名と自社が対象になる条件、申請までの段取りを自分で判断できるようになります。

AI研修(生成AI研修・AIエージェント研修を含む)の費用に使える助成金は、厚生労働省の「人材開発支援助成金」です。研修の内容・目的に応じて、主に次の3コースが入り口になります(中小企業・2026年7月時点、出典:厚労省 詳細版パンフレット 令和8年5月14日版)。

  • 事業展開等リスキリング支援コース——DX・新規事業のためのAI研修。経費助成75%+賃金助成1人1時間1,000円令和8年度末までの時限措置で、今年度が最終年度です。
  • 人への投資促進コース——高度デジタル人材訓練75%、定額制(サブスク型)訓練60%など。こちらも令和8年度末までの時限措置。
  • 人材育成支援コース——日常業務のためのAIリテラシー研修。経費助成45%(賃金要件等を満たすと60%)。

これは研修(人材育成)への国の助成で、ツール導入への「補助金」(経済産業省・自治体系)とは別物です。どのコースに当てはまるかは研修の内容と自社の状況で変わり、最終判定は管轄の労働局と、申請を担う社会保険労務士(社労士)が行います。私たち(合同会社ゼネラリスト)は助成金の要件に合う研修の設計までを担い、申請書類の作成・提出は社労士と連携します。対象になる条件申請の手順は、それぞれ独立した章で解説します。

「AI研修を入れたいが、費用の一部を助成金でまかなえないか」——そんな中小企業に向けて、厚生労働省の人材開発支援助成金を軸に、対象コース・助成の条件・助成率・申請の手順を、研修を提供する側の現場目線で整理しました。生成AI研修だけでなく、AIエージェント研修・AI人材育成の計画にも使える話です。補助金との違いも解説します。制度の金額・要件・期限は変わるため、必ず最新の公式資料・管轄の労働局でご確認ください。

01 · Basic

「助成金」と「補助金」は別物

最初に、言葉を整理します。AI関連の公的支援を調べると「助成金」と「補助金」が混ざって出てきますが、この2つは所管も対象も違います。ここを取り違えると、探す窓口も申請の相手も間違えてしまいます。

  • 助成金(厚生労働省)=人(研修)への支援。従業員に訓練を受けさせる「人材育成」の取り組みに対して、訓練経費や訓練中の賃金の一部を助成します。AI研修の費用が関わってくるのは、主にこちらです。要件を満たせば支給される性格のものが中心で、この記事の主役は人材開発支援助成金(厚労省)です。
  • 補助金(経済産業省・自治体など)=モノ(ツール導入等)への支援。ソフトウェアやシステムの導入費用などが対象になりやすく、公募期間内に申請し、審査・採択を経て交付されます。研修そのものより「AIツールを入れる」フェーズで関わることが多いものです。
ざっくり言うと:「社員にAIを学ばせる研修費用」を軽くしたいなら助成金(厚労省)、「業務に使うAIツール・システムを導入する費用」を軽くしたいなら補助金(経産省・自治体)が入り口になります。この記事は前者(研修への助成)を中心に扱います。札幌・北海道の補助金については後半の章で触れます。
「補助金でAI研修費が出る」と思われがちですが:「AI研修 補助金」で調べてこのページに来た方に、先に整理しておきます。IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金・多くの自治体のDX/IT補助金は、ソフトやシステムの"導入費"が中心で、"研修費そのもの"は対象外か対象になりにくいのが実情です。研修の費用を軽くしたいなら、探すべきは経産省・自治体系の「補助金」ではなく、厚労省の「助成金」(人材開発支援助成金)——ここが入り口です。「補助金」という言葉のまま経産省系を探し続けると、研修費にたどり着けないことがあります(各制度の対象経費は年度で変わるため、利用時は必ず各公募要領で要確認)。

なお、以下で扱う金額・助成率・上限・要件・期限はいずれも2026年7月時点の情報です。制度は年度ごとに改正され、予算の消化状況でも受付が変わります。実際の適用可否は、必ず最新の公式資料と管轄の労働局でご確認ください。

02 · Course

AI研修に使える助成金はどれ?対象コースの交通整理

人材開発支援助成金には複数のコースがあり、AI研修が関わり得る代表は次の3つです。「AI研修だからこのコース」と一律に決まるわけではなく、研修の内容・目的・対象者で当てはまるコースが変わります。混同されやすいので、目的の違いで並べて整理します。

表:AI研修が関わり得る主なコースと助成率(中小企業・2026年7月時点/出典:厚労省 詳細版パンフレット 令和8年5月14日版

コース対象・目的主な研修要件向くケース助成率(中小企業)
人材育成支援コース職務に関連した知識・技能を習得させる一般的な訓練OFF-JTで10時間以上日常業務のためのAIリテラシー・実務研修経費45%(賃金要件等で60%)+賃金助成800円/人時(同1,000円)公式PDF
人への投資促進コース
(デジタル人材育成訓練 等)
デジタル・高度人材の育成、定額制(サブスク)研修などコース内メニューごとに要件・対象訓練が異なるDX・デジタル分野に踏み込んだ育成、定額制eラーニング高度デジタル人材訓練75%/定額制訓練60%(賃金要件等で75%)ほかメニュー別 公式PDF
事業展開等リスキリング支援コース新規事業・DX化・GX化に伴い新たに必要となる知識・技能OFF-JTで10時間以上+事業展開等実施計画の提出DX推進や新事業のためにAIスキルを新たに習得させる経費75%+賃金助成1,000円/人時(1人あたり上限あり)公式PDF

※ コース名・対象・要件・助成率は2026年7月時点(令和8年5月14日版パンフレット)。上限額や加算の条件は次章で解説します。人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースは令和8年度末までの時限措置です。自社がどのコースに当てはまるかの最終判定は、管轄の労働局・社労士へ。

コース選びの考え方:「日常業務を生成AIで効率化するための研修」なら人材育成支援コース、「DX・デジタル分野を厚く育てる/定額制の学習環境を入れる」なら人への投資促進コース、「DX推進や新しい事業のために必要なスキルを新規に習得させる」なら事業展開等リスキリング支援コースが入り口になりやすい、という程度の目安です。実際は要件の細部で振り分けが変わるため、ここで確定はできません。
AIエージェント研修も対象になる?:「AIエージェントを業務に組み込む研修の費用にも助成金は使えるのか」という相談が増えていますが、制度上は「生成AI」か「AIエージェント」かで区別されるわけではなく、職務に関連したOFF-JT訓練かどうかで判定されます。社内のDX推進としてAIエージェントの構築・活用を学ぶ訓練は、事業展開等リスキリング支援コースに乗せやすい典型例です(該当可否の最終判定は労働局・社労士)。AIエージェントで実際に何を自動化できるかは、AIエージェント導入の実装解説記事にまとめています。

03 · Rate

助成率・上限はいくら?令和8年度の公式数値と改正の注意

助成は「経費助成(研修費用への助成)」と「賃金助成(訓練中の賃金への助成)」に分かれ、中小企業か否か、賃金要件などの追加要件を満たすかで変わります。以下は厚労省の詳細版パンフレット(令和8年5月14日版)に基づく2026年7月時点の数値です(出典:事業展開等リスキリング支援コース 詳細版人材育成支援コース 詳細版)。

  • 事業展開等リスキリング支援コース(中小企業):経費助成75%+賃金助成1人1時間あたり1,000円。経費助成の上限は1人1訓練あたり、実訓練時間10時間以上100時間未満で30万円、100時間以上200時間未満で40万円、200時間以上で50万円。eラーニング・通信制・定額制サービスによる訓練は経費助成のみです。1事業所が1年度に受給できる助成額の上限は1億円。
  • 人への投資促進コース(中小企業):高度デジタル人材訓練は経費75%+賃金1,000円/人時、定額制訓練は経費60%(賃金要件等を満たすと75%)。メニューごとに要件・上限が異なります。
  • 人材育成支援コース(中小企業):経費助成45%が基本、賃金要件等を満たすと60%。賃金助成は1人1時間あたり800円(同1,000円)。非正規雇用労働者向けの訓練では率が上がるメニューもあります。
  • 「75%」にも前提条件がある。リスキリング支援コースの75%は中小企業の基本率ですが、「事業展開・DX化・GX化に関連する訓練」というコース該当要件と、上記の1人あたり上限額が前提です。どんなAI研修でも無条件に費用の75%が戻るわけではありません。

令和8年度の改正・期限で押さえておくこと

2026年度(令和8年度)には、実務に効く改正と「期限」があります。研修を検討する前に知っておくと、あとで慌てずに済みます(出典:人材開発支援助成金(厚労省))。

  • 人への投資促進コース・事業展開等リスキリング支援コースは、令和8年度末までの時限措置。つまり2026年度がこの高助成率を使える最終年度です(パンフレット記載。延長の有無は今後の公表を要確認)。計画届は訓練開始の1か月前までに必要なので、使うなら前倒しで動くのが安全です。
  • 疎明書(受講料等の価格設定に関する疎明書/様式第28号)の提出が必須化。厚労省は令和8年5月14日より、支給申請時にこの疎明書の提出を求めています(同日時点で支給・不支給が決定していない申請にも適用)。受講料の妥当性を示す書類で、研修提供者側の協力(価格の根拠の提示など)が必要になる場面です(一次情報:申請書類一覧(厚労省))。
  • 設備投資加算の新設(リスキリング支援コース・中小企業のみ)。訓練で習得したスキルを活かす機器等を新たに導入した場合、賃金要件または資格等手当要件を満たすことを前提に、導入費用の50%(支給対象労働者1人につき15万円、10人以上は150万円が上限)を加算できます。実技訓練で実際に機器を使うことなどの要件があります。
  • 人材育成支援コースに中高年齢者実習型訓練を新設など、コースごとの加算・要件の見直しがあります。最新の詳細版パンフレットで確認してください。
要確認:助成率・単価・上限・加算の具体的な数字は、改正のたびに変わります。本記事の数値は令和8年5月14日版パンフレット時点のもので、申請にあたっては必ず最新の詳細版パンフレット・支給要領と、管轄労働局/社労士の確認を取ってください。

04 · Target

AI研修が助成金の対象になる条件(研修を提供する側から見て)

助成金の対象になるには、会社と研修そのものが一定の条件を満たす必要があります。ここは研修を提供する側の設計に直結する部分です。代表的な条件を、実務の感覚を添えて挙げます(2026年7月時点。正確な要件は各コースの支給要領が正)。

  • 会社が雇用保険適用事業所であり、受講者が雇用保険の被保険者であること。対象労働者は原則として雇用保険の被保険者である従業員です(この点は落とし穴の章で詳しく触れます)。
  • OFF-JT(通常の業務を離れて行う訓練)であること。日常業務の中で教えるOJTではなく、業務から切り離した「研修」として実施する形が基本です。
  • 実訓練時間が10時間以上であること。人材育成支援コース・事業展開等リスキリング支援コースとも、10時間以上のOFF-JTが基本要件です。単発の短い説明会では時間要件を満たせません。
  • (リスキリング支援コースの場合)事業展開・DX化・GX化に関連する訓練であり、「事業展開等実施計画」を計画届と併せて提出すること。事業展開は、訓練開始日から3年以内に実施予定のもの、または6か月以内に実施したものである必要があります。
  • 計画・記録・出席などの書類要件を満たすこと。訓練の実施計画、当日の出欠や時間の記録などが後の支給申請で必要になります。
提供者としての一次情報(現場の型):助成金の時間要件を満たすため、当社の生成AI研修は12時間程度の、少し長めのカリキュラムで組むことが多いです(料金は受講されるお一人あたり30万円〜・税別)。また、計画届の提出から研修の実施まで、最低でも1か月はみておく必要があります(後述の手順のため)。そして最も大事なのは、実施前に受講側の状況や業務課題をヒアリングし、それを踏まえて研修を設計できるか。ここで研修の効果が大きく変わります。制度の段取りに乗せつつ、中身は自社の業務課題に合わせる——この両立が、助成金を使った研修を「消化しただけ」で終わらせないコツです。

研修の素の相場感(助成金を使わない場合の費用の目安)や、依頼先の選び方は、別記事にまとめています。あわせてどうぞ。

札幌で生成AI研修を頼むには?(選び方・費用・進め方)→

05 · Scale

会社の規模で「助成金の使いやすさ」は変わる

制度上の助成率そのものは、中小企業であれば規模で大きくは変わりません。ですが、「申請を実際に通しきる実務のしやすさ」は、従業員の人数で変わってきます。研修を提供する側として、事前のヒアリングで「この規模なら、ここでつまずきやすい」という傾向は見えてきます。あくまで傾向で、自社が該当するかの最終判定は管轄の労働局・社労士ですが、研修を組む前の見取り図として整理します。

表:会社の規模別・助成金申請でつまずきやすい点(提供者視点の傾向・2026年7月時点/最終判定は労働局・社労士)

規模の目安つまずきやすい点研修設計側で先に整えること
10名未満
(小規模)
就業規則や社内の教育体制など、申請に必要な社内書類が未整備なことが多い。全員を同じ研修時間に揃えるのが難しく、立替の負担も相対的に重い。受講の日時候補を早めに複数用意し、少人数でも時間要件を満たせる形にする。書類面は社労士に早期に接続。
10〜50名対象者(雇用保険の被保険者)とそうでない人が混在しやすく、計画どおりの受講時間・受講場所の確保が現場の繁忙とぶつかる。研修前に対象者を洗い出し、複数日程・録画併用などで受講を取りこぼさない設計にする。
50名以上拠点や部署が分かれ、出欠・実施記録の管理が煩雑になる。計画の粒度が粗いと、後の支給申請で書類が揃わない。部署・拠点単位で計画を切り、記録の取り方を最初に決めておく。年度あたりの上限額も見ておく。

※ 規模の区分・つまずきやすい点は、研修提供者として見てきた傾向であり、助成の可否や区分(中小企業/小規模事業者)の判定基準ではありません。正確な区分と要件は各コースの支給要領・管轄労働局・社労士でご確認ください。

提供者としての一次情報(現場の実感):規模が小さい会社ほど、制度そのものより「誰が対象者か」の洗い出しでつまずくことが多いです。実際に、支給申請の段階で雇用保険の被保険者でない従業員が混ざっていて、その方の分が対象外になったケースがありました。だからこそ、研修を組む前に対象者・希望内容・実施日時の候補を先に整理し、早めに社労士へつなぐ——この順番を、規模の大小にかかわらずお勧めしています。

06 · Flow

助成金の申請手順|社内計画 → 計画届 → 実施 → 支給申請

助成金は「研修をやったあとに申請すればもらえる」ものではありません。研修を始める前の「計画届」が起点で、さらにその前提として社内の育成計画の整備が求められます。ここを外すと対象にならないので、締切に一番気をつけたい部分です。代表的な流れは次のとおりです(コースにより細部は異なります)。

助成金の申請手順の図。STEP00で社内の育成計画を整備し、STEP01で訓練開始日の6か月前から1か月前までに計画届を提出、STEP02で10時間以上の訓練を実施、STEP03で支給申請。計画届の提出が最重要で、開始1か月前を過ぎると申請できない。
図:計画届の締切(開始1か月前)から逆算するのが、失敗しない順番です。

STEP 00

社内の育成計画の整備

申請の前提として、職業能力開発推進者の選任と、事業内職業能力開発計画の策定・従業員への周知が必要です。AI人材育成を助成金に乗せるなら、まず「会社としてどう人を育てるか」の計画をここで形にします。

STEP 01

計画届の提出

訓練の実施計画を、訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に管轄の労働局へ提出。リスキリング支援コースは事業展開等実施計画も併せて提出します。ここが最重要。提出前に研修を始めると対象外になり得ます。

STEP 02

訓練の実施

計画どおりにOFF-JTを実施。訓練時間の要件(10時間以上)を満たし、出欠・実施時間を記録します。受講時間・受講場所を計画どおりに守ることが、後の支給に効きます。

STEP 03

支給申請

訓練終了日の翌日から原則2か月以内に支給申請。訓練経費は支給申請までに全額支払いを終えている必要があります。令和8年度は疎明書(様式第28号)などの書類も必要です。期限を逃すと受給できません。

STEP 04

審査・受給

労働局の審査を経て、要件を満たしていれば支給されます。書類の不備や要件の未充足があると、減額・不支給になることがあります。

締切の勘所:「①計画届=開始の1か月前まで(受付は6か月前から)」「③支給申請=終了後2か月以内」の2つの締切が肝です。研修の中身を詰めるのと並行して、この事務スケジュールを最初に押さえておくと、後戻りがありません。日付・時間の要件は各コースの支給要領で必ず確認してください(出典:厚労省 詳細版パンフレット)。

07 · Cost

実質いくら?費用シミュレーション

「助成率が45%や75%なら、実質いくらになるのか」をイメージするための、あくまで目安の試算です。当社で助成金の対象になる研修(12時間カリキュラム)は受講されるお一人あたり30万円〜のため、ここではお一人あたりの定価30万円を例にしています。下表は「経費助成のみ」を単純化して示したもので、実際には賃金助成が別途加わったり、上限・要件充足の有無で変わります。この表は概算のイメージであり、実額を保証するものではありません。(正確な料金は料金ページ、実額は管轄労働局/社労士にご確認ください)

表:経費助成の実質負担イメージ(受講者お一人あたり・2026年7月時点・要件充足時の目安・断定不可)

研修費用(定価の例・お一人あたり)経費助成率(目安)実質負担の目安
30万円45%(人材育成支援コース・基本)約16.5万円
30万円60%(同・賃金要件等の充足時)約12万円
30万円75%(事業展開等リスキリング支援コース該当時)約7.5万円

※ 2026年7月時点の目安。経費助成のみを単純計算した概算で、賃金助成・上限額(リスキリング支援コースは1人1訓練30万〜50万円など)・対象経費の範囲・要件充足の有無は反映していません。実額は必ず管轄労働局/社労士に確認してください。75%は事業展開・DX化等に関連する訓練というコース該当要件を満たした場合であり、無条件ではありません。

実質負担が下がるぶん、要件に合うなら助成金は積極的に使うべきだと考えています。ただし、「助成金が使えるから」を理由に研修の中身を痩せさせるのは本末転倒です。目的はあくまで現場でAIが使われるようになること。助成金は、そのための費用を軽くする手段にすぎません。

助成金を使わない場合の素の相場(講演・単発レクチャー15万円〜、12時間の法人研修など)は、別記事に整理しています。

生成AI研修の費用相場(形態別の料金目安・内訳)→札幌で頼む場合の選び方・進め方 →当社の料金の全体像を見る →

08 · Cases

うちの場合はどうなる?受講人数別の実額と、対象になる/ならない

前章は「お一人あたり」の話でした。実際にご相談をいただくときに必ず聞かれるのは、「うちは◯人受けさせたい。結局いくら残るのか」です。ここでは人数別に、そして「うちのこの人は対象になるのか」を、条件ごとに整理します。

受講人数別|総額と実質負担の目安

12時間カリキュラム(お一人あたり定価30万円・税別)を、事業展開等リスキリング支援コース(中小企業・経費助成75%)に該当した場合で試算します。賃金助成(1人1時間あたり1,000円)も12時間ぶん加えています。

表:受講人数別の実質負担イメージ(経費助成75%+賃金助成が適用された場合の目安)

受講人数定価(税別)経費助成75%賃金助成実質負担の目安(1人あたり)
3人90万円▲67.5万円▲3.6万円約18.9万円(1人 約6.3万円)
5人150万円▲112.5万円▲6万円約31.5万円(1人 約6.3万円)
10人300万円▲225万円▲12万円約63万円(1人 約6.3万円)

※ 2026年7月時点・要件を満たした場合の単純計算による目安で、実額を保証するものではありません。経費助成には1人1訓練あたりの上限(実訓練時間10時間以上100時間未満で30万円)があり、この試算では1人あたりの助成額22.5万円が上限内に収まっています。賃金助成にも1人あたりの上限があります。1事業所が1年度に受給できる助成額の上限は1億円です。実額は必ず管轄労働局/社労士にご確認ください。

人数が増えても1人あたりの負担は変わりません。経費助成は「1人1訓練あたり」で計算されるため、まとめて受けさせても1人あたりの単価は下がりませんが、上がることもありません。「大人数のほうが割安になるのでは」と聞かれることがありますが、この制度の設計上はそうなりません。人数は予算ではなく「誰に必要か」で決めてください。

この人は対象になる?|迷いやすい6つのケース

人材開発支援助成金は「雇用保険の被保険者」であることが土台です。ここを起点に考えると、多くのケースは判断がつきます。ただし最終判定は管轄の労働局と社労士で、下記はあくまで相談前の見立てです。

  • 正社員 ── 雇用保険の被保険者であれば土台の条件は満たします。最も素直なケースです。
  • パート・アルバイト ── 一律に対象外ではありません。雇用保険の被保険者かどうかで判断が変わります。加入していれば検討の余地があります。
  • 役員 ── 雇用保険の被保険者でない場合が多く、その場合は土台の条件を満たしません。一人社長・役員だけの会社では使えないことがあるという点は、先に押さえておいてください。
  • 入社したばかりの社員 ── 被保険者であるかが起点です。ただしコースごとに対象者の要件が定められているため、ここは個別確認が要ります。
  • 複数拠点の社員をまとめて ── 助成額の上限は1事業所1年度あたりで見ます。拠点の分け方によって扱いが変わるため、計画届の前に確認してください。
  • すでに他の研修で助成を受けた社員 ── 経費助成の上限は「1人1訓練あたり」で、1年度内の受給回数にも定めがあります。年度内に複数回を予定している場合は、順番と時期の設計が要ります。
実務でいちばん多い詰まり方:制度の可否よりも、「全員の受講時間をどう確保するか」で止まります。10時間以上のOFF-JTが基本要件なので、シフト制の職場や少人数の会社ほど、日程調整が最大のハードルになります。計画届は訓練開始の1か月前までなので、日程が決まらないと制度自体に乗れません。研修内容より先に、まず候補日を押さえるのが実務的な順番です。

eラーニングで受けさせたい場合

eラーニング・通信制・定額制サービスによる訓練は、経費助成のみが対象で、賃金助成は付きません。上の試算表から賃金助成のぶんが外れる、と考えてください。10人なら12万円ぶん実質負担が増える計算です。

受講時間の確保が難しい職場ではeラーニングが現実的な選択になりますが、「見て終わり」になりやすいのも事実です。当社が12時間の集合型で組むことが多いのは、手を動かす時間を確保しないと現場で使われないという実感からです。制度の都合と定着のしやすさは、必ずしも一致しません。

09 · Hokkaido

札幌・北海道の独自補助金は「研修助成」とは別物

札幌市や北海道、経済産業省 北海道経済産業局などが、DX・IT導入向けの補助金を用意していることがあります。ただし、これらは多くが「AIツール・システムの導入」に軸足のある補助金で、ここまで説明してきた厚労省の「研修への助成」とは制度も所管も別です。混ぜて考えると、探す窓口も要件も食い違ってしまいます。

  • 研修費用を軽くしたい → 厚労省の人材開発支援助成金(本記事の主役)。窓口は管轄の労働局、申請実務は社労士。
  • AIツール・システムの導入費を軽くしたい → 経産省・自治体系の補助金。窓口は北海道経済産業局や札幌市・商工会議所など。公募期間・審査があり、時期により内容が変わります。
要確認:地域の補助金は制度名・対象経費・公募時期が頻繁に変わるため、本記事で特定の制度名を断定して挙げることは避けます。利用を検討するときは、北海道経済産業局・札幌市・お近くの商工会議所などの公的窓口で最新情報を確認してください。「研修は助成金、ツール導入は補助金」という切り分けだけ、頭に置いておくと迷いにくくなります。

ツール導入や顧問活用と、札幌市・北海道のDX補助金の関係は、別記事でも触れています。

札幌市・北海道のDX・AI導入補助金の最新情報 →AI導入・顧問活用に使える補助金は?(AI顧問の記事)→

10 · Pitfall

助成金ありきで進めるときの落とし穴

助成金は有効ですが、「もらえること」を前提に走り出すと、思わぬところでつまずきます。研修を提供してきた立場から、実際に起きやすい落とし穴を共有します。

  • 受講時間・受講場所を計画どおりに守るのが、実務では想像以上に大変。研修は業務時間内に行うため、対象の従業員全員の受講時間を合わせること、決めた受講場所を守ることが必要です。助成金の対象になるには、この「計画どおりの実施」を厳守しなければなりません。現場のシフトや繁忙とぶつかりやすい、地味だが重い論点です。
  • 対象労働者の要件を満たさない従業員が混ざると、その分が対象外に。対象は原則雇用保険の被保険者です。実際に、書類申請の段階で要件を満たさない従業員がいて、その方が対象外になったケースがありました。「社会保険」と混同されやすい点にも注意が必要です(雇用保険と社会保険は別の制度。正確な適用範囲は要確認)。誰が対象になるかを、研修を組む前に洗い出しておくのが安全です。
  • 「来年でいいか」と先送りすると、コース自体が終わっている可能性。人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースは令和8年度末までの時限措置です。計画届は訓練開始の1か月前までに必要なため、年度末ぎりぎりの駆け込みは間に合わないことがあります。
  • 「助成金が出るから」を目的化すると、中身が痩せる。助成率に合わせて研修を薄くしたり、要件を満たすためだけに時間を水増ししたりすると、現場で使われない研修になりがちです。目的は業務が回ること。助成金はその手段、という順番を崩さないことが大切です。
  • 締切と書類。計画届(開始1か月前まで)と支給申請(終了後2か月以内)の締切、令和8年度の疎明書など、事務の要件を外すと受給できません。ここは社労士と早めに握っておきます。

11 · Position

私たちの関与範囲|研修設計はする、申請は社労士と連携

ここは誤解が生まれやすいので、はっきり書きます。助成金の申請書類の作成・提出の代行は、社会保険労務士(社労士)の独占業務です。私たち(合同会社ゼネラリスト)は「当社が助成金を申請します」とは言えませんし、しません。私たちが担うのは、あくまで研修の側です。

  • 担うこと:助成金の要件(OFF-JT・時間要件など)に合うように研修カリキュラムを設計し、業務課題に沿った中身に作り込むこと。研修の実施と、受講料の根拠など提供者側で必要な情報の提示。
  • 担わないこと:助成金の申請書類の作成・提出。これは社労士に連携します。採択(受給)の保証もしません。
連携前にこちらで詰めること(一次情報):社労士につなぐ前に、当社では受講する企業の従業員数・(雇用/社会)保険の適用対象者の人数・希望する研修内容・実施日時の候補を先に整理するようにしています。ここが固まっていると、社労士側の判断も早く、どのコースが当てはまるかの見立てもスムーズです。研修設計と要件に合うカリキュラム作りは当社が、申請は社労士が——この役割分担で進めます。

「うちの場合はどのコースが当てはまりそうか」「研修をどう組めば要件に乗るか」の見立てから、お手伝いできます。最終的な適用可否・申請は、労働局と社労士の判断になります。

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12 · FAQ

よくある質問

AI研修(生成AI研修)に助成金は使えますか?+
研修内容や目的によっては、厚生労働省の「人材開発支援助成金」の対象になり得ます。日常業務のためのAIリテラシー研修なら人材育成支援コース、DX推進や新規事業のためのAI研修なら事業展開等リスキリング支援コース(中小企業は経費助成75%)などが入り口です。これは研修(人材育成)への国の助成で、ツール導入への補助金(経産省・自治体系)とは別物です。どのコースに当てはまるか・実際に対象になるかは、研修の内容と自社の状況で変わり、最終判定は管轄の労働局と社会保険労務士が行います。金額・要件・期限は2026年7月時点の情報で、必ず最新の公式資料でご確認ください。
AIエージェント研修の費用も助成金の対象になりますか?+
制度上は「生成AI」か「AIエージェント」かで区別されるわけではなく、職務に関連したOFF-JT訓練で、時間要件(10時間以上)や対象労働者の要件(雇用保険の被保険者)などを満たすかで判定されます。社内のDX推進としてAIエージェントの構築・活用を学ぶ研修は、事業展開等リスキリング支援コースに乗せやすい典型例です。一方、AIエージェントのツール・システムそのものの導入費は、助成金ではなく経産省・自治体系の補助金の領域になります。該当可否の最終判定は管轄の労働局・社労士へご確認ください。
「最大75%助成」と聞きましたが、どの研修でも75%もらえますか?+
いいえ。75%は、事業展開等リスキリング支援コース(中小企業)や人への投資促進コースの高度デジタル人材訓練などの経費助成率です。リスキリング支援コースの場合、「事業展開やDX化・GX化に関連する訓練」というコース該当要件を満たすことが前提で、経費助成には1人1訓練あたりの上限額(実訓練時間に応じて30万〜50万円)もあります。一般的な研修(人材育成支援コース)の経費助成は、中小企業で45%が基本、賃金要件等を満たすと60%です。正確な率は各コースの詳細版パンフレット(厚労省)でご確認ください。
AI研修の助成金はいつまで使えますか?+
人材開発支援助成金のうち、人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースは令和8年度末までの時限措置とされています(2026年7月時点・厚労省パンフレット記載)。つまり高い助成率のコースは2026年度が最終年度の見込みです。計画届は訓練開始日の1か月前までに提出が必要なため、活用を検討している場合は前倒しで動くことをお勧めします。延長や制度変更の有無は、厚労省の最新情報・管轄労働局でご確認ください。
助成金の申請は御社(合同会社ゼネラリスト)がやってくれますか?+
いいえ。助成金の申請書類の作成・提出の代行は社会保険労務士の独占業務のため、当社は行いません。当社が担うのは、助成金の要件(OFF-JT・時間要件など)に合う研修カリキュラムの設計と実施までです。申請は社労士と連携して進めます。採択(受給)を保証するものでもありません。
どのコースが自社のAI研修に当てはまりますか?+
研修の内容・目的・対象者で変わります。日常業務のためのAIリテラシー研修なら人材育成支援コース、DX・デジタル分野の育成や定額制研修なら人への投資促進コース、DX推進や新規事業に必要なスキルの習得なら事業展開等リスキリング支援コースが入り口になりやすいですが、確定は要件の細部次第です。最終判定は管轄の労働局・社労士へ。当社はどのコースに乗せやすいか、研修設計の面から見立てをお手伝いできます。
助成金を使うと、申請から受給までどれくらいかかりますか?+
研修を始める前の「計画届」が起点です。計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に提出し、研修を実施したうえで、訓練終了日の翌日から原則2か月以内に支給申請を行います。その後、労働局の審査を経て支給されます。当社の実務感覚では、計画届から研修実施まで最低1か月はみておくのが安全です。正確な日数・期限は各コースの支給要領でご確認ください。
従業員が少ない小規模な会社でも、AI研修の助成金は使えますか?+
制度としては、中小企業・小規模事業者でも人材開発支援助成金の対象になり得ます。助成率そのものは規模で大きくは変わりません。ただし実務では、就業規則など社内書類の整備、対象者(雇用保険の被保険者)の確認、全員の受講時間の確保といった点が、規模が小さいほど手間になりやすい傾向があります。研修を組む前に対象者・希望内容・実施日時の候補を整理し、早めに社労士へつなぐのが安全です。当社は研修設計の面から、少人数でも時間要件を満たせる形の見立てをお手伝いできます(対象可否の最終判定は労働局・社労士)。
パート・アルバイトや役員もAI研修の助成金の対象になりますか?+
人材開発支援助成金は「雇用保険の被保険者」であることが土台です。パート・アルバイトも一律に対象外ではなく、雇用保険に加入していれば検討の余地があります。一方、役員は雇用保険の被保険者でない場合が多く、その場合は土台の条件を満たしません。役員のみの会社や一人社長では使えないことがあります。コースごとに対象者の要件が別途定められているため、最終判定は管轄の労働局・社労士にご確認ください(2026年7月時点)。
10人に受けさせると、1人あたりの負担は安くなりますか?+
安くなりません。経費助成は「1人1訓練あたり」で計算されるため、人数をまとめても1人あたりの単価は下がらず、逆に上がることもありません。当社の12時間カリキュラム(お一人あたり定価30万円・税別)で、経費助成75%と賃金助成が適用された場合、1人あたりの実質負担は人数にかかわらず約6.3万円が目安です(2026年7月時点・要件充足時の単純計算。実額は管轄労働局/社労士にご確認ください)。人数は予算ではなく「誰に必要か」で決めるのが妥当です。
原駿介(合同会社ゼネラリスト代表)のプロフィール写真

原駿介(はら・しゅんすけ)/ 合同会社ゼネラリスト 代表

北海道・札幌を拠点に、中小企業の生成AI導入・業務効率化・AI研修・外部AI顧問をフルリモートで支援。助成金を活用した研修では、要件に合うカリキュラム設計を担い、申請は社労士と連携する。行動指針は「先義後利」。

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「うちの研修はどのコースに乗せられそうか」「要件に合う中身にするには」——研修設計の面からの見立ては、当社がお手伝いできます。申請は社労士と連携して進めます(採択は保証しません)。まずは現状を聞かせてください。最初の相談は無料です。売り込みはしません。

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